問題の所在 1.旧民法上は、共有物に軽微な変更を加える場合であっても、変更行為として共有者全員の同意が必要(旧民法251)と扱わざるを得 ず、円滑な利用・管理を阻害 2.賃借権等の使用収益権の設定は、基本的に持分の過半数で決定できるが、長期間の賃借権等については全員同意が必要と解されて おり、長期間かどうかの判断基準が明確でなく、実務上、慎重を期して全員同意を求めざるを得ないため、円滑な利用を阻害 1. 軽微変更についての規律の整備 ○ 共有物に変更を加える行為であっても、形状又は効用の著しい変更を伴わないもの (軽微変更)については、持分の過半数で決定することができる。 (新民法251Ⅰ、252Ⅰ) 改正法 ※ 「形状の変更」とは、その外観、構造等を変更することをいい、「効用の変更」とは、その機能や用 途を変更することをいう。具体的事案によるが、例えば、砂利道のアスファルト舗装や、建物の外壁・ 屋上防水等の大規模修繕工事は、基本的に共有物の形状又は効用の著しい変更を伴わないも のに当たると考えられる。共有土地の分筆等の登記についても、持分の過半数によって申請が可能。 2. 短期賃借権等の設定についての規律の整備 ○ 以下の〔〕内の期間を超えない短期の賃借権等の設定は、持分の過半数で決定することができる(新民法252Ⅳ)。 ⑴ 樹木の植栽又は伐採を目的とする山林の賃借権等 〔10年〕 ⑵ ⑴に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等 〔5年〕 ⑶ 建物の賃借権等 〔3年〕 ⑷ 動産の賃借権等 〔6か月〕 ※ 借地借家法の適用のある賃借権の設定は、約定された期間内での終了が確保されないため、基本的に共有者全員の同意がなければ無効。 ただし、一時使用目的(借地借家法25、40)や存続期間が3年以内の定期建物賃貸借(借地借家法38Ⅰ)については、持分の過半数の決定に より可能であるが、契約において、更新がないことなど所定の期間内に賃貸借が終了することを明確にする工夫が必要。 31 管理(最広義) の種類 根拠条文 同意要件 変更(軽微以外) 民251Ⅰ 共有者全員 管理 (広義) 変更 (軽微) 民251Ⅰ ・252Ⅰ 持分の 過半数 管理 (狭義) 民252Ⅰ 保存 民252Ⅴ 共有者単独 〔改正法における共有物の変更・管理・保存概念の整理〕 共有物の「管理」の範囲の拡大・明確化
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