第18回日韓学術交流会 韓国側にご要請したい主題 題目: 遺言のデジタル化とオンライン申請登記手続について 1. 遺言について 現在、日本ではデジタル技術を活用した遺言制度について、研究会が開かれて います。 韓国では、録音による遺言が認められていると聞き及んでおりますが、そのよ うな形式の遺言は実際に活用されているのでしょうか。 回答 : 従来にはあまり活用されていなかったが、最近になってスマートフォンなどの電子機 器を利用した録音や撮影が容易になり、日常化するにつれて、ますます増加する傾向にあ るが、全体的な活用度は未だ微々たる水準である。 2. 録音遺言が活用されている場合 録音遺言が活用されている場合、それによる実務上のメリット・デメリットは あるでしょうか。 回答 : 長所としては筆記なしに口述だけで遺言が成立するため、作成が容易かつ経済 的である。短所としては遺言内容が公開され、偽造・変造・滅失などの危険がある。 具体的な事例で、実際に紛争になったケースなどがありましたら御教示いた だけますと幸いです。 回答 : 大法院2023年6月1日言渡2023ダ217534 [遺言効力確認の訴]判決参照 弁護士が故人の遺言を携帯電話で録音した後、録音原本ファイルを故人の相 続人にカカオトークで伝送した後、削除し、遺言検認期日には録音写しのファ イルだけが提出され遺言検認調書が作成された場合、遺言の効力が問題になっ た事案で、大法院は諸般事情に照らして、遺言検認期日に提出された録音写し のファイルが録音原本ファイルと同一性があるファイルである事実が認めら れるという理由で、故人の遺言が民法第1067 条の要件を備えたものであって有 効だと判断した原審の判断を支持し上告棄却した事案である。
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