死因贈与に関する討論文 討論者 : 大韓法務士協会 法制研究所 法制研究委員 キム・ヒョソク 1. まず、長い歴史と伝統を持つ貴日本司法書士会連合会との日韓学術交流会において、日 本側の発表テーマである「死因贈与」について討論者として参席することができたことを大変光栄 に存じます。 2. 他の諸法制度と同様に民法、特に遺贈と死因贈与に関しても韓国と日本はかなり似た規定 を設けているので、これらの制度をめぐる解釈論と実務を両国の法律家らが共有することは非常に 重要だと考えます。 3. 韓国においてこれまで微弱ながらも活用されてきた死因贈与制度を、これ以上活用しづらくし た不動産登記先例が2021 年に制定されました。その内容の核心は、死因贈与執行者指定方 式に関するものです。つまり、贈与者と受贈人が作成した死因贈与契約書にその執行者を指定 した内容が含まれていても、遺言公証や家庭法院の検認という別途の手続きを受けなければなら ないというものです。こうした登記先例は、死因贈与執行者に対して遺言執行者に関する規定が 準用され、遺言執行者の指定は遺言でのみ可能である点を根拠としているものとみられます。 4. 日本の解釈論および判例と同様に、法的性質が単独行為である遺贈と異なり、死因贈与は 不要式の契約であるため、遺言の方式に関する規定は死因贈与に準用されないというのが韓国 の通説兼判例の立場です。にもかかわらず、死因贈与執行者指定のために再び遺言公証ない し家庭法院の検認を受けなければならないということは非常に不便かつ不合理な解釈論だと考え ます。 発表者の方が言及されたとおり、死因贈与執行者は死因贈与契約内で指定すれば十分であり、 死因贈与契約書がすなわち「死因贈与執行者の資格を証明する情報」に該当するという趣旨に 全面的に共感します。
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